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老いた父と母と-いつまでもあなたがたの一人娘でいたい~


by ygracia
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悲しみ(せん妄)

朝から、また救急車を呼ぶかどうか迷った。
救急センターに電話をいれたところ、決まり文句で断られた。
断る理由はいわれなくてもわかる。
高齢・痴呆だ。
要するに、助けても助けなくても高齢ならそれであきらめるだろうからだ。
と、今日はすべてにネガティブな感じ。

父は大汗をかき、呼吸も荒かった。
誤嚥性肺炎か、打撲のせいか。

診察予定だったので9時までまったが、父は眠ったまま。
脳外科で呼吸のことをいうと、背中の打撲のせいかもという。
そして、整形でみてもらってください。
整形にいき、せなかの傷と打撲をみせて、
レントゲンを6枚。
やり直しを2枚。
父はへとへとで眠ったまま。

結局はっきりとした骨折はなかったものの、ひびはあるかもという。
ただ、うでも動かせるのでシップでいいだろうって。
固定するとうでも動かなくなるからって。確かに。

首は老齢のためほねのあいだは詰まっていた。
ま、これもシップのみ。

いつもの大学病院、土曜のせいでとっても静かだった。

昼寝から起きた父、
トイレにいって戻ってくると、またベットへ行こうとする。
「少し起きたら?」
だまって、ソファにすわったが、なにかかしこまっている。
「なんで呼び出すんですか?」
まっすぐ前を見て言う。
「なあに?」
「なにか用事でもあるんですか?」
父に名前をきくと、他人に聞かれたようにです、ますで答える。
娘の名前まで言えた。住所も電話番号も。
「娘のつれあいは?」
「。。。。。」
「孫の名前は?」
「。。。。。」
「私はだれ?」
「副所長の・・」
「え?」
「職員」
「掃除の係りの・・」

胸が痛くなった。
夫は、機嫌が悪く、「だからどうしろっていうんだよ、しかたないだろう」

涙がとまらなかった。
娘が来て「だ~れだ?」
と聞くと、「りょうこ」
あれ、
「じゃ、この人は?」と娘が指差すと。
「見たことある」
「ゆみこだよ、」
「嫁にいったのに、なんでいるんだ」
「ずっといっしょに住んでるんだよ」と娘。
「そうか」

そのあとは、自分が起こされている理由がないといいはるので、
娘が絵の道具を持ってきて、書かせた。
私が泣きながら夕飯の準備をしている30分間で
船の絵を書き上げていた。

ごはんの前に
「私は誰?」
ときくと、「ゆみこ」
「忘れないでね」
と言っておいた。

猫が4匹いることは覚えていた。

痴呆と診断されてからいろんなことがあったし、
もっとぼけていることもあったけど、
私のことをわすれることはなかった。
母がいつも「ゆみこのいうとおりにしなさいよ」っていってたし、
父も「うん」といっていた。

ショックが大きすぎて、母の病院へいく気力がなくなってしまい、
娘にいってもらった。
母は母できょう一日、水ものめず、つらかったらしい。
完全看護といってもこんなもんなんだ。いつものことだが。

地域のホームドクターは必要だ。
私の子供のころは、先生が家まで来てくれてた。
父を時間をみて地元の先生のところで見てもらうことにした。
ちょっとした熱や、そんなことでも助かる。
今日一日、こどもたちが赤ちゃんだったころ、急の発熱や、
そんなことで一喜一憂して病院へかけつけたころと
同じだと思った。

全国の病院に老人科を作るべきだ。
内科や脳や、耳鼻科、眼科、歯、整形、ひとつずつ回されなくても
すべての可能性を疑ってくれる医師と連携してくれる医師たちと
こころのあったかい看護師と、臨機応変な事務方と・・・
休む場所と・・・・
あ~病院つくろうかなぁ~~~悲しみ(せん妄)_b0055939_21445783.jpg
by ygracia | 2004-11-06 21:47 | 幻視